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Clouds Across the Moon

バビロン再訪(5)

今回の旅に出る前から関心があり、この目で確かめたかったことのひとつに、フランスのアラブ化がある。

伝聞でおれが住んでいた頃よりかなり進行していると知っていたが、実態は想像以上だった。パリに関していえばアラブ圏の飛び地かと見紛うほどだ。どこに足を運んでもアラブ系は少数派ではなく、スカーフを巻いた女性は日常風景で、通りにはケバブ屋やアラブショップが並び、肉屋にはハラールの文字が、といった具合だ。カフェ、ビストロ、パン屋といった伝統的な店にも、アラブ系経営が目につくようになった。日曜も休まず夜遅くまで開いていて店員がフレンドリーなアラブショップがおれは大好きなのだが、移民排除を叫ぶ極右勢力の躍進にもうなづける気がした。

とはいえ、意外にすさんだ感じはない。現地の人の話でも、海外でいわれているほどの軋轢はないという。20日ほどパリ南部で過ごしたおれの皮膚感覚でも、昔より確実に融和しているな、と感じた。フランス・アラブという組み合わせのカップルはふつうに見かけるし、結婚式も何回か見た。ちなみにウェディングドレスをきたアラブ系女性の美しさはかなりなものだ。アラブ系移民の出生率の高さは広く知られているが、実際、町で見かけるアラブ系の女性は妊婦であることが多く、今後の人口動態変化を考えると、近未来のパリの風景がどのようなものかは明らかだろう。

波乱や紆余曲折はありながらも、こうしてなし崩し的に、着実にフランスはアラブ化していくんだ、とおれは妙に納得し、太陽が照り輝く夜、カフェで、どこかから漂ってくるアラビアンポップを耳にしながら、未来のパリを思い描きつつ啜るエスプレッソはなかなか悪くなかった。

ところで、もしフランスにいくことがあったらアラブ系の肉屋で、チュニジアの羊肉ソーセージ・メルゲーズを買うことをオススメする。自家製メルゲーズは店によって香辛料の利きなどに個性があり、スーパーのパッケージされたものとは比べ物にならないくらいうまい。もちろんびっくりするくらいビールに合う。

バビロン再訪(4)

パリで撮った写真。場所は、アパルトマン、セーヌ川岸、オートゥイユ温室植物園、パリ進化博物館、シトロエン公園、革命記念日前夜のバスチーユ広場、ル・カフェ・ド・ ランデュストリ、パリ工芸博物館。

オートゥイユ温室植物園

シトロエン公園

革命記念日、宴の後のバスチーユ広場

セーヌ川岸

パリ進化博物館

ル・カフェ・ド・ ランデュストリ

マルシェで買ったアンドゥイエットとハム

パリ進化博物館

パリ工芸博物館

パリ進化博物館

バビロン再訪(3)

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そして真打ちのパリ。見上げればうんざりするくらい無駄に美しい町並み。足元を見れば、犬のクソやタバコの吸殻がいたるところに散らばっている道。スーパーの前では、ホームレスが大バーゲンで下着をあさる大阪のおばちゃんのようにゴミ箱を競い漁っている。涙をこらえながらその風景を愛でる。おれはこの絶妙なコントラストを求めて、安くないゼニを払い、パリくんだりまでやってきたのだ。

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短期借りしたアパルトマンに一泊して迎えた翌日の昼、それなりの値段でうまいメシをたらふく食わせると評判のビストロ「CHEZ PAPA」へ。上の写真のカスレ(肉と白いんげん豆の煮込み料理)をメインに、ブルーチーズのオムレツやサラダや牛肉のワイン煮込み注文。どの料理も野郎でも軽くショックを受けるようなボリューム。

肝心の味はザックリとしたうまさというか、もう一歩で大味と形容したくなるが、ギリギリそういわせない――そんなうまさ。店員の肩の力の抜けたサービスもいい。ちなみに英語のメニューも用意され、店員も英語を話し、黄色い顔したジャポネなエトランジェでも気軽に入ることができる。オススメ。

バビロン再訪(2)

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今回の旅はアムステルダムからはじまる。スキポール空港に降り立ち、おれはすぐにアムステルダムセントラルステーションに向かった。宿に荷物を置き、久しぶりのアムスに胸を震わせ、町中を練り歩く。名物の嗜好品をたしなみつつ、ハーリング(生ニシン)や山盛りのフリットやソフトクリームなどを味わいながら夏のアムスを心ゆくまで堪能。

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写真のハーリングは屋台で購入。確か2ユーロ弱だったと思う。トロリとした魚肉とキューブオニオンの相性が抜群で目の覚めるうまさ。

アムスは前に訪れたときと比べてそれほどの変化はなかった。変わったことといえば、おれの記憶より若干健全になったことくらいか。飾り窓の方に行ってもおれが見た限り、ガラス窓の向こう側からグラマラスな肉体を揺らしながら視線を投げてくる娼婦や小声でハードドラッグをささやく売人は見当たらなかった。それでもやはりアムスはアムスで、運河のある風景は目に心地よく、コーヒーショップはもちろん、ヘッドショップやドラッギーな店は健在だった。

翌日、列車でローゼンダールを経由し、ベルギーの都市アントワープに向かった。アントワープは思いのほかすばらしい町だった。一見すれば地味な地方都市かもしれない。が少し目を凝らせば、ここが深みのある町だとわる。個性の光るショップが随所にあり、他の欧州都市に比べて物価は安く、人々はフレンドリーで、そして何より唸るくらいうまいベルギービールが安価にたらふく飲める。KRIEKのうまさには完全にやられた。

アントワープにはどういうわけかステーキハウスが多くある。肉に目がないおれは駅近くの広場のステーキハウスに入り、愛想のいい若い店員に、大好物のTボーンステーキ(18ユーロ)を注文した。これがボリューム、味ともに文句なし、どころかこれまで食った中でも屈指といっても誉めすぎではない。しかもフリットやピタやサラダがついてこの値段だからたまらない。アントワープにきて肉を食わないのは損だ。

時間の制約上、すべての名所を回ることはできなかったが、聖ヤコブ境界・大聖堂・ブラボーの噴水はかろうじて行くことができた。中でも聖ヤコブ教会はすばらしい。薄闇に浮かぶ白と黒が織り成す美しさにはかすかなめまいを覚えた。

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