▼ Contact

バビロン再訪(5)

Posted by drazone on 2009/08/01

今回の旅に出る前から関心があり、この目で確かめたかったことのひとつに、フランスのアラブ化がある。

伝聞でおれが住んでいた頃よりかなり進行していると知っていたが、実態は想像以上だった。パリに関していえばアラブ圏の飛び地かと見紛うほどだ。どこに足を運んでもアラブ系は少数派ではなく、スカーフを巻いた女性は日常風景で、通りにはケバブ屋やアラブショップが並び、肉屋にはハラールの文字が、といった具合だ。カフェ、ビストロ、パン屋といった伝統的な店にも、アラブ系経営が目につくようになった。日曜も休まず夜遅くまで開いていて店員がフレンドリーなアラブショップがおれは大好きなのだが、移民排除を叫ぶ極右勢力の躍進にもうなづける気がした。

とはいえ、意外にすさんだ感じはない。現地の人の話でも、海外でいわれているほどの軋轢はないという。20日ほどパリ南部で過ごしたおれの皮膚感覚でも、昔より確実に融和しているな、と感じた。フランス・アラブという組み合わせのカップルはふつうに見かけるし、結婚式も何回か見た。ちなみにウェディングドレスをきたアラブ系女性の美しさはかなりなものだ。アラブ系移民の出生率の高さは広く知られているが、実際、町で見かけるアラブ系の女性は妊婦であることが多く、今後の人口動態変化を考えると、近未来のパリの風景がどのようなものかは明らかだろう。

波乱や紆余曲折はありながらも、こうしてなし崩し的に、着実にフランスはアラブ化していくんだ、とおれは妙に納得し、太陽が照り輝く夜、カフェで、どこかから漂ってくるアラビアンポップを耳にしながら、未来のパリを思い描きつつ啜るエスプレッソはなかなか悪くなかった。

ところで、もしフランスにいくことがあったらアラブ系の肉屋で、チュニジアの羊肉ソーセージ・メルゲーズを買うことをオススメする。自家製メルゲーズは店によって香辛料の利きなどに個性があり、スーパーのパッケージされたものとは比べ物にならないくらいうまい。もちろんびっくりするくらいビールに合う。